TOP-HAT News 第164号(2022年4月)

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        第164号(2022年4月)
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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発マガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。
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エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部


◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1 はじめに 速報値の持つ意味は?

2 小さなちからを大きくつなぐ

3 プライドセンター大阪が始動

4 『Unbox Me』キャンペーン UNAIDS

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1 はじめに 速報値の持つ意味は?
 昨年(2021年)の国内における新規HIV感染者・エイズ患者報告の速報値が3月15日、厚労省のエイズ動向委員会から発表されました。API-Net(エイズ予防情報ネット)に概要が掲載されています。
 https://api-net.jfap.or.jp/status/japan/index.html
 エイズ動向委員会四半期報告の2022年[令和4年]のページで、委員長コメント(PDF版)をご覧ください。少々ややこしくなって恐縮ですが、前半は2021年第3・第4四半期の報告、そして後半部分に年間速報値の概要が紹介されています。
 
新規HIV感染者報告数 717件(過去20年間で18番目の報告数)
 新規AIDS患者報告数  306件(過去20年間で20番目の報告数)
    合計      1023件(過去20年間で18番目の報告数)

8月には確定値がまとまる見通しで、速報値より少し報告数が増えます。
前年の2020年は、新規HIV感染者・エイズ患者報告数の速報値が合計1076件(2021年3月16日発表)、確定値は1095件(8月24日発表)でした。19件増えています。2019年は速報値1219件、確定値1236件で、その差は17件でした。
科学的根拠はまったくありませんが、前例踏襲で確定値は速報値より20件弱増えると仮定すると、2021年の確定値は1040件前後でしょうか。
以前に比べると、速報値と確定値の差はかなり縮小しています。例えば、報告数が最も多かった2013年の場合、速報値は1546件(2014年2月28日発表)でした。この時点では過去2番目でしたが、確定値段階で44件増えて1590件(2014年5月23日発表)となり、過去最多を記録しています。
速報値と確定値の差が縮んできたのは、年4回(3カ月に1回)開催だったエイズ動向委員会が2017年から年2回開催に変わったことも影響しているようです。速報値がまとまる年明け最初の委員会が、2月開催から3月開催に変わり、年初(年度末)の忙しい時期とはいえ、全国レベルの速報値集約にも1カ月程度の余裕ができました。誤差が小さくなれば、国内のエイズ対策の方向性を判断する際の速報値の持つ意味も変わってきます。
もちろん、報告のデータは現時点のHIV感染の動向を直接、示すものではなく、その年に検査を受けて感染していることが確認された人の数です。減少傾向は顕著になっていますが、社会的に検査を受けにくい環境が広がれば、報告数は減ります。
いまはどうなのか。実際の感染も減少しているのか、それとも何かの理由で感染はむしろ増えているけれど、報告は減っているということなのか、両方が考えられます。
2020年のコロナ流行拡大以来、検査をめぐる環境がどう変化したのか。
影響はもちろん小さくありませんが、行政の保健担当者やHIV/エイズ分野のNPOなどがそうした変化に対応し、本当に検査を必要としている人に検査が届くようにする工夫を重ねてもいます。こうした努力の積み重ねが途切れてしまわないようにする工夫も、いまはとりわけ大切です。
参考までに付け加えておくと、エイズ動向委員会の開催は2000年まで年6回でしたが、2001年から年4回に変わり、2017年以降は年2回開催になっています。それで十分なのだとしたら、速報値の報告はやめて、確定値とその分析をもう少し早めに発表できるように努力した方がいいのかもしれません。


2 小さなちからを大きくつなぐ
 日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス(JaNP+)の創設者で、3月7日に69歳で亡くなった長谷川博史さんのメモリアルサイト『小さなちからを大きくつなぐ』が開設されました。
 https://www.janpplus.jp/topic/733
 JaNP+が追悼メッセージや思い出のエピソードを募集し、3月20日までに寄せられた多数の投稿を編集、掲載しています。「小さなちからを大きくつなぐ」は長谷川さんが大切にしていた考えであり、JaNP+の原点でもあるということです。


3 プライドセンター大阪が始動
 常設のLGBTQセンターとして、プライドセンター大阪が4月1日、大阪・天満橋にオープンしました。公式サイトはこちらです。
 https://pridecenter.jp/
《パンデミックで傷ついたLGBTQの心身の健康、社会的な健康の回復を支援することをミッションに掲げて設立されました。いくつかの非営利団体で協力して運営し、大阪だけでなく、今後、地方でLGBTQに関するセンターを運営する際のモデルになるよう、情報共有に努めていきたいと思います》(プレスリリースから)
 LGBTQだけでなく、その周囲の人、LGBTQに関して学びたい人など、誰でも利用できるということです。


4 『Unbox Me』キャンペーン UNAIDS
『国際トランスジェンダー認知の日』(3月31日)に先立ち、国連合同エイズ計画(UNAIDS)がプレス声明を発表して『Unbox Me』キャンペーンを開始しました。3月30日付のプレス声明によると、トランスジェンダーの子供たちの権利を擁護し《子供の時の性自認について、親や教師、さらにより広いコミュニティが認識を深めるためのキャンペーン》です。エイズ&ソサエティ研究会議HATプロジェクトのブログに声明の日本語仮訳が掲載されています。
 https://hatproject.seesaa.net/article/202204article_2.html
 《トランスジェンダーの子供たちにとって箱の中に宝物を隠すことは、承認されそうもない自らのアイデンティティを周囲の目から隠す手段になることもあります。Unbox Meの目的はトランスジェンダーの子供たちが認知されることです。包含と受容を呼びかけるキャンペーンなのです》

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