保健分野の指導者はG8サミットで感染症が重要課題となることを歓迎

(解説)北朝鮮がテポドン2など7発ものミサイルを日本海に発射したことから、ロシアの古都、サンクトペテルブルクで7月15-17日に開かれる主要国首脳会議(G8サミット)でも北朝鮮問題がにわかに浮上してきました。今回はロシアがG8の仲間入りをしてから初めて議長国となるサミットで、ホストとなるプーチン大統領と米国のブッシュ大統領の攻防戦、小泉首相の役割、そして欧州勢はどう動くか・・・と、国際安全保障をめぐる手に汗握る首脳外交は確かに注目されるところですが、事前準備の段階で重要課題として用意されていたテーマは「エネルギー安全保障」「感染症対策」「教育」でした。ロシアを中心とする旧ソ連・東欧地域はHIV感染の増加率という点ではアジアをも上回り、薬物注射による感染を中心に流行が急拡大していると伝えられています。このHIV/エイズの流行の拡大、近い将来に発生が懸念される新型インフルエンザのアウトブレークなど「感染症対策」が21世紀の最重要グローバル・イシューであることは言うまでもありません。
WHO、UNAIDSなど感染症対策に取り組む4機関が歓迎と注文の共同声明を出しました。北朝鮮か感染症対策かではなく、どちらも重要。突発的な危機に緊急かつ果敢に対処するとともに、緩やかにしかし着実に進行している重大な危機にもきちんと対応してこそ、世界の首脳でしょう。というわけで、今回のサミットは見どころいっぱいです。



保健分野の指導者はG8サミットで感染症が重要課題となることを歓迎
2006年7月4日
 世界保健機関(WHO)、国連合同エイズ計画(UNAIDS)、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(GLOBAL FUND)、ワクチン予防接種世界同盟(GAVI)の共同声明

英文はUNAIDSウエブサイトのpress releases欄を参照
  http://www.unaids.org/en/MediaCentre/PressMaterials/default.asp


【ジュネーブ】ロシアのサンクトペテルブルクで開かれる今年の主要国首脳会議(G8サミット)は地球規模の保健課題に焦点を当て、すでに流行している病気や新たに流行しつつある病気の対策に政治の最高指導者が今後も取り組み続けることを確実なものにするであろう。

 G8サミットに先立ち、世界保健機関(WHO)、国連合同エイズ計画(UNAIDS)、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(Global Fund)、ワクチン予防接種世界同盟(GAVI)の保健政策・資金分野4機関の指導者は感染症対策が重要課題として取り上げられることを歓迎するとともに、G8首脳が世界の最貧国で暮らす人々の保健状態を改善し、生命を守るための努力を継続していくことを求める。

 G8首脳は以前から、エイズ、結核、マラリア、そしてワクチンで予防可能な病気が、経済開発を妨げ、貧困を温存し、世界の多くの地域の安全を脅かすことを認識してきた。最近の新型インフルエンザの世界的な流行に対する懸念は国際的な関心を呼び起こし、流行発生時に予想される潜在的な死者や患者を減らし、社会的経済的影響を軽減するための準備をすべての国が整えておく必要があることを思い起こさせた。 

 昨年のグレンイーグルス・サミットで、各国首脳は2010年までにエイズ治療の「普遍的アクセスに可能な限り近づくこと」を約束した。首脳たちはまた、アフリカでエイズのない世代の実現を目指してHIV感染を減らすとともに、地球規模のエイズ対策の規模を大幅に拡大していくために努力を続けると語った。

 2005年はまた、人間開発に真剣に取り組み始めた年でもあった。G8は世界の最貧18カ国に対する多国間の債務のほとんどを帳消しにし、アフリカへの支援を倍増させ、保健分野への投資を拡大することを約束した。

 WHOからはアンダース・ノルドストルム事務局長代行がG8サミットに参加する予定である。「保健分野におけるこれまでのG8の約束は大きな成果を上げてきた」と彼は言う。
「HIV/エイズ、結核、マラリア、新型インフルエンザ、ポリオなどの新興感染症や長期にわたる感染症の流行は保健および人間の健康に関する安全保障が世界の最重要課題のひとつであることを示している。世界で最も豊かな国々が示している関心はすべての国の人たちに直接、利益をもたらすであろう」

 G8が過去数年にわたり保健分野を重視してきたことは、国連合同エイズ計画(UNAIDS)の機能強化に直接、結びつくとともに、これらの感染症の予防、診断、治療に90億ドルの資金拠出約束を取り付けるうえで大きな役割を果たしたグローバル・ファンドの創設にもつながった。G8諸国および他の資金拠出国は、予防接種のための国際金融ファシリティ(IFFIm)を表明した。来るべきIFFmにより、2005年から2015年までの間に500万人の子供の命を救い、さらに将来の大人500万人以上の命も救うための40億ドルの投資が期待できることになる。

 「G8首脳によってなされてきたエイズ対策への支援は、HIV/エイズの流行を克服するために極めて重要なものであったし、今後も重要であり続けるであろう」とUNAIDSのピーター・ピオット事務局長は語る。「HIVの治療および予防サービスのアクセス拡大に私たちは大きな成果をあげてきたが、それでもHIV/エイズの流行はそうした対策を上回るペースで広がっている。一年前になされたHIV治療、予防、ケアの普遍的アクセスを目指すという約束を現実のものにしなければならない」

 「G8首脳は5年前にジェノバでグローバル・ファンド創設の意向を表明した」とグローバル・ファンド事務局長のリチャード・フィーチャム博士は言う。「以来、G8諸国は一貫してグローバル・ファンドの強力なサポーターであり続けてきた。その結果、グローバル・ファンドは131カ国のプログラムを支援し、数百万の人々の死を防いできた」

 「包括的な保健サービスの拡大は実行可能だし、多くの人の生命を救う新たなワクチンや新技術の開発など現在進行中のさまざまな保健対策を支えるために整備すべき共通のプラットフォームでもある。野心的な目標を達成するために、私たちはG8および他の資金拠出国の継続的な支援を期待している」とGAVI連合の事務局長、ジュリアン・ロブ‐レヴィ博士は述べた。「さらに、G8によるAdvance Market Commitmentの創設と支援は、より多くの人の命を救い、ミレニアム開発目標を達成するために必要な途上国向けのワクチンの研究開発を拡大強化するうえで大きな助けになるであろう。各国で保健分野のMDGs達成に必要なサービス提供の規模を迅速に拡大するために、GAVIは積極的に他の開発パートナーと協力し、役割を分担する努力を続けているところである」と彼は付け加えた。

 G8諸国は新型インフルエンザ対策の国家計画を策定するとともに、世界全体が感染症のアウトブレークをいち早く確認し、対策をとる能力を向上させるための準備も支援してきた。しかし、新型インフルエンザを含む新興感染症が知られざるままに拡大していくかもしれない地域との間には、いまもなお、ギャップがある。こうした疾病の死角を見つけ出し、無くしていくことが重要である。早期警報システムが生命を救い、病気の苦しみを緩和し、コストを軽減する。

 ポリオ根絶計画に対するG8の継続的な支援はポリオ流行国を世界で4カ国にまで減らす大きな助けになった。1985年以来のポリオ対策資金40億ドルの半分以上はG8諸国から提供された資金である。

 すべての保健プログラムの成否は、保健医療従事者不足の危機にいかに対応しうるかにかかっている。世界全体で現在、約400万人の保健医療従事者が不足している。医師や看護師、検査技師らの不足は世界の57の最貧国で最も深刻である。

 「保健医療従事者はいかなる保健システムにおいても柱である」とノルドストルム博士は強調する。「G8の指導者は、財務、保健、教育、出入国管理などに直接の影響を行使することによって、保健医療従事者を最も必要としている場所で、必要な人材の育成や確保ができるようにする政策決定が可能である」

 G8サミットは7月15日から17日までロシアのサンクトペテルブルクで開かれる。会議の重要課題には、「世界規模のエネルギー安全保障」「教育」「感染症対策」の三つが取り上げられている。

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